本田家資料紹介―秋季企画展準備の現場より―

平成30年6月30日 資料紹介-1・2掲載
平成30年7月13日 資料紹介-3掲載

 当館では、10月27日(土)より12月9日(日)の期間において、秋季企画展『本田家と江戸の文人たち』(仮)を開催する予定です。
 現在、その企画展開催のための準備作業を鋭意進めているところですが、展示予定の資料などの中から、本田家資料をいくつかご紹介させていくことにいたしました。
 秋季企画展が開催されましたら、ご紹介した資料の“本物”を是非ともご覧ください。皆さまのご観覧をお待ちしております。

紹介資料-1:『大観書屋』扁額 市河米庵書

 市河米庵の書による扁額です。米庵は江戸時代後期を代表する書家で、巻菱湖・貫名海屋とともに「幕末の三筆」に数えられています。
 この「大観書屋」の扁額は、米庵が本田昻斎(本田家10代当主)のために書いたものです。昻斎は文化12(1815)年に米庵に入門しており、米庵流と呼ばれる書風は、その後の本田家のお家流となります。なお、本田随庵(本田家9代当主)が称した号に「大観堂」があり、これが後に本田家の屋号となることから、この扁額の文言は本田家をあらわしているものであることが分かります。
 秋季企画展では、本田家資料からこの市河米庵書による扁額をご覧いただきます。

紹介資料-2:市河米庵編『小山林堂書画文房図録 甲~癸』(全10冊)


 『小山林堂書画文房図録 癸』に所載の「端渓天禄硯」は、市河米庵が自ら所蔵した文房具の中でも第一に掲げているものです。
 この硯は豊臣秀吉より徳川家康へと贈られ、代々将軍家に伝えられていたものです。天保15(1844)年5月の江戸城火災によって焼失した「大学衍義」の補写を命ぜられた米庵が、その賞として同12月22日に第12代将軍の徳川家慶より賜ったものです。なお、この硯は現在、東京国立博物館に所蔵されて現存しています。
 秋季企画展では、本田家資料から市河米庵が自らの書画文房具のコレクションを著述・刊行した『小山林堂書画文房図録』をご覧いただく予定です。

  ※:東京国立博物館デジタルコンテンツ研究情報アーカイブズ:http://webarchives.tnm.jp/

紹介資料-3:『江戸名家書画帖』

 谷文晁、亀田鵬斎、市川寛斎・米庵、大窪詩佛、菊池五山など、当時の江戸文人文化を牽引していた著名な人々による書画が配された折本。見開きに画と書をそれぞれ左右に置いて11組の書画によって構成されており、本田退庵(本田家13代当主)による跋文が添えられています。
 本田昻斎(本田家10代当主)の自書年賦に「〔文化13(1816)年〕冬十一月余遊東都訪所謂当時高名家者請詩書画」との記述がありますが、退庵の跋文に拠れば、この書画帖は、将に昻斎が江戸で集めたこれらの書画を配したものであることが知られます。退庵の跋文にあるとおり、「当時文運之盛」を鑑みることができる優品です。
 この度の展示では、展示期間を区切って展示する書画を入れ替え、いくつかの書画をご観覧いただけるようにする予定です。