資料研究室 ◆5月新着図書情報◆

 資料研究室では、国立市内の歴史・地誌・市民・行政資料だけでなく、多摩地域・区部・各県の行政・博物館等の刊行物や図録、一般図書の閲覧ができます。
 入室時間は9時から16時30分です。(第2・4木曜日は休館日になりますのでお気をつけください)

 室内の図書は『くにたち図書館 資料検索システム』から図書検索ができますのでご利用ください。

 なお、当資料研究室の図書は、学芸員の研究・調査用の図書でもあるため、貸出しはできません。ご理解のほど、何卒よろしくお願いいたします。
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~書籍紹介~

◆『国立のまち歴史物語』
◆ 郷土文化館叢書第一集 『本田咊夫氏聞き取り報告』
◆『旧国立駅舎の思い出』2017(平成29)年国立市市制施行50周年記念
◆ 多摩のあゆみ169号

『国立のまち歴史物語』


[編集・発行]国立のまち歴史物語研究会・国立駅前大学通り商店会
[請求番号]10/B1
44p,A5版

 人々が集い、また住まう“まち”。そこには人々の日々の営みが重層的に積み重なり、あるものは記憶され、またあるものは思い出へと転換され、ひと握りの事象が記録として残されていく。人々のこうした営為の堆積が、その“まち”の歴史を築いているのだろう。そんな想いを抱かせる1冊をご紹介します。
 本書は、国立のまち歴史物語研究会および国立駅前大学通り商店会により、シリーズ刊行の第1回「景観編」として発行されたもの。景観を客観的に物質的側面のみから論ずるのでなく、「国立へようこそ」と題した後書にあるように、「国立の取り組みの歴史を人物中心の物語り風に取りまとめ」た内容となっています。今昔を通じて、まちづくりに関わった、あるいは関わっている人々のトピックスが随所に散りばめられています。
 本書では大学通りを中心に、国立大学町と称された地域について、その歴史に関わる9つの物語を紹介しています。いずれも平易な文章、端的な説明で読み易く、加えて写真や図版等を豊富に掲載してビジュアル面でもキャッチーな紙面に仕立てられています。歴史という堅苦しくなりがちなテーマを、分かり易く気軽に読み進められるよう配慮されています。
 「先人が培ってきたこうした都市景観を貴重な財産として継承し、保全しながら、さらにより魅力的なものへと発展させることは、現代に生きる人々の喜びであり、使命でもある。」という国立市都市景観形成条例前文の言を実践するための手引きとしても、一読しておきたい1冊。【Ryou】

郷土文化館叢書第一集 『本田咊夫氏聞き取り報告』


[編集・発行]くにたち郷土文化館
[請求番号]10/P4
140頁,A4版

 本田家は下谷保村の名主を勤め、医家でもあった国立市域屈指の名家であり、新選組の近藤勇や土方歳三とも縁が深いことでも知られています。その長い歴史を物語る本田家の主屋と薬医門、それらを含む土地と関連資料群が平成29年に国立市へ寄贈されました。
 本書は、本田家16代目当主である本田咊夫(たかお)氏(昭和4年生)への聞き取り調査の内容をまとめたもので、本田家に伝わる歴代の事績だけではなく、いままで書き残されてこなかった戦前・戦後の本田家の様子や、人々との交流、村の様子など、本田家に残された写真を交えて収録しました。
モノも記憶も、それを大切に守り伝える人がいなくては、後世に残ることはありません。本書で語られる本田家の歴史は、本田家の人々が時代の流れの中で、真摯に家と向き合い、村と向き合ってきた証といえるのではないでしょうか。
【Jun】

→※本書は「くにたち郷土文化館」にて販売しています。

『旧国立駅舎の思い出』2017(平成29)年国立市市制施行50周年記念


[著者]国立市都市整備部国立駅周辺整備課
[発行]国立市都市整備部国立駅周辺整備課
[請求番号]10/Y4
 49頁,A4版

 国立市の市制施行50周年記念事業の一環として募集された旧国立駅舎にまつわる思い出やイラスト等をまとめた冊子。2020年の完成を目指して旧国立駅舎の再築事業が進められているなか、その事業を推進している国立市国立駅周辺整備課によって取りまとめられました。
 73名の方から寄せられた68話の思い出やエピソード等に加え、イラストや絵画等の作品22点を掲載。
国立がまだ鄙びた風情を残していた時期の思い出、家族や友人・恋人、大切な人々との楽しい、または哀愁を帯びた思い出。それらと共にある旧国立駅舎の記録。
国立のまちへの愛着や思い出を語るとき、旧国立駅舎の「赤い三角屋根」が、人々の心の中に佇んでいる。そんなエピソードが満載です。
 また、駅舎の解体を惜しむ・悲しむ声、「失ってはいけなかった駅舎はあの頃のままの姿で、私たちの心に建っている」といった駅舎への強い想い、「また、会いたい」とのラブコール、再築を知って「再び胸が高鳴っている」、「再建する日を一日千秋の思いで待っている」など、再築への期待も多く寄せられています。
「駅舎がコミュニティの拠点」であった、国立駅駅前空間における駅舎の存在の大きさを窺い知ることができる一冊。【Ryou】

多摩のあゆみ169号

 
多摩の金融史4『国立の学園都市開発と地域銀行-高田農商銀行を中心に-』(70~77頁)
[著者]堀 峰生
[発行](公財)たましん地域文化財団
[請求番号]02/A5
96頁,A5版

 毎号多彩な切り口で特集や連載が組まれている『多摩のあゆみ』。この度は、同書169号の連載「多摩の金融史」に掲載された堀峰生氏の論稿をご紹介します。
本論稿では、堤康次郎が箱根土地株式会社を設立するにあたって、その傘下に置かれた高田農商銀行が取り上げられています。
同行が「純農村地帯の農村金融機関」から、箱根土地株式会社の開発事業において資金調達を担った「『機関銀行』として変容」していく過程とその後の経緯が論じられています。
高田農商銀行にスポットを当てた論説が少ない中、「『国立学園都市』開発等への関わりから」同行の変容を論じている点で、本稿は貴重であり大変参考になります。
箱根土地株式会社は、大正15(1926)年3月に社債が償還不能となるなど、国立大学町開発当時は「深刻な資金難」に陥っていました。時を同じくして、その「資金調達機関」であった高田農商銀行も「重大な経営危機に見舞われる」こととなります。
資金難の箱根土地株式会社が国立大学町建設を進めた時期的背景に触れると共に、同社への貸出が固定化していた高田農商銀行が、そのような状況下で破綻を免れた理由などについても言及されています。
堤康次郎の開発事業を支えた金融機関、この金融史の側面から国立大学町建設を眺める、そのような複眼的視点を得られる一読すべき論稿です。【Ryou】