晩い秋の陽光をたっぷり浴びて、障子の張り替えをした記憶がありませんか。新しい歳を迎えるための、暮らしのしきたりのようなものが薄れていくのも、時代の変化で詮方ないことなのかもしれませんが、古民家の古びた障子を眺めていると、いくらかの追憶とともに、寂しい思いに駆られます。ふと、田中冬二の詩を思い出しました。

   夜があけかかると
暗い家の中に
まづ白ばんでくる障子は
なんといふなつかしいものであらう
またなんといふうれしいものであらう
しづかな夜あけの障子には
神様がおいでになるといふ
夜があけかかり
暗い家の中に
まづひとところから白馬の大雪渓のやうに
しろばんでくる障子は
なんといふうれしいものであらう

 古民家もやがて冬を迎えます。折を見て、新しい
障子紙を求めにいくことにいたしましょう。